印刷業のkintone導入事例|社内SE高齢化で「待ったなし」だった基幹システム移行を、IT導入補助金×kintoneで1年半で完遂した事例

まず聞かせてください。こんな状況、心当たりありませんか?

  • 社内システムを構築・保守してくれていたエンジニアが高齢化しており、後継者がいない
  • 現行システムをいつか移行しなければと思いながらも、費用と期間の見通しが立たず踏み出せずにいる
  • フルスクラッチで新システムを開発すると億単位の費用がかかると聞いて、選択肢から外している
  • 今のシステムがブラックボックス化しており、仕様書も残っていない
  • システムが止まる前に移行したいが、「いつ止まるかわからない」というプレッシャーが続いている

 

もしひとつでも「あるある」と感じたなら、この記事はあなたのために書きました。

印刷業のkintone導入事例——I社長(50代)の場合

I社長は、印刷業を営む50代の代表取締役です。従業員は50名以下。受注管理・工程管理・納品管理・請求管理まで、業務全体を長年にわたって社内SEが構築したオリジナルの基幹システムで管理してきました。

このシステムは自社業務にカスタマイズされており、現場への定着度も高い。長所は多くありました。しかし経営判断として無視できない問題が、ある時期から重くのしかかってきていました。

 

「システムを作って保守してくれていたSEが高齢になってきた。引退や万が一のことを考えると、このままではいつかシステムが止まるリスクがある。わかってはいたけど、移行には時間もお金もかかる。どこから手をつければいいのか、ずっと悩んでいた」

 

フルスクラッチでの新システム開発も検討しました。しかし費用の見積もりを取ると予算をはるかに超える金額が並び、開発期間も数年単位になることがわかりました。「やらなければならない」という焦りと「でも踏み込めない」という現実の間で、判断が止まっていました。

さらに問題があります。長年運用してきた基幹システムは、仕様書がほとんど残っていない状態でした。担当SEの頭の中にある知識と、積み重なった暗黙のルールで動いているシステム——これを別のエンジニアに引き継ぐこと自体が、大きなリスクになっていました。

 

「このまま何もしなければ、いずれシステムが止まる。でも下手に動いて失敗すれば、会社全体の業務が止まる。どちらに転んでも怖い、という状況だった」

 

このI社長の会社に、私たちはkintoneを活用したシステム移行の支援を行いました。

印刷業の「基幹システム移行の壁」——なぜ多くの中小企業が踏み出せないのか

I社長のように、老朽化した基幹システムの移行を「わかってはいるけど動けない」状態で抱えている中小企業は少なくありません。その理由は明確です。

フルスクラッチ開発は、中小企業の予算・期間・リソースに対して過大すぎます。大企業向けのパッケージシステムは機能が多すぎて自社業務に合わない。SaaSツールは業種特化型でなければカスタマイズに限界がある——こうした選択肢の中で、「自社にちょうど合う移行先」を見つけられずに時間が経っていくケースが多い。

もうひとつの壁は「移行期間中の業務継続」です。現行システムを止めずに新システムへ段階的に移行する——この並行運用を設計できるかどうかが、移行の成否を分けます。

kintoneはこの2つの壁を同時に解決できる数少ないツールです。

そもそもkintoneとは?印刷業・製造業との相性がいい理由

kintoneは、サイボウズ社が提供する業務アプリ作成ツールです。プログラミングなしで自社業務に合わせた管理画面を作れます。

印刷業・製造業との相性が特によい理由は2つあります。

ひとつは「既存業務フローを忠実に再現できる柔軟性」。受注から工程管理・納品・請求まで、現場が長年慣れ親しんだフローをkintone上で再現できます。フルスクラッチのように仕様定義から作り直す必要がなく、「今やっていることをkintoneで動かす」というアプローチが取れます。

もうひとつは「段階的な移行が可能な拡張性」。一度にすべてを移行せず、業務領域ごとに順番にkintoneへ移していける。現行システムと並行運用しながら、リスクを分散して移行を進められます。

印刷業のkintone——既存基幹システムとの違いはここ

 

比較項目 社内SE製オリジナルシステム kintone移行後
保守・改修の対応 × 特定SEに依存 ◎ パートナー企業が継続対応
機能追加のスピード × 仕様変更に時間とコスト ◎ 短期間・低コストで対応可
移行コスト × フルスクラッチは予算超過 ◎ 補助金活用で現実的な予算に
業務フローへの適合 ◎ 長年カスタマイズ済み ◎ kintoneでも再現・改善可能
システム停止リスク × SE引退で存続が不透明 ◎ クラウドで安定稼働
拡張・連携の自由度 △ 改修のたびに工数大 ◎ 柔軟に追加・連携可能

 

オリジナルシステムの強みは「自社業務への適合度」です。kintoneはその強みを引き継ぎながら、「特定の人に依存しない持続可能な運用体制」を実現します。

プロが設計した「3つの解決策」

1. IT導入補助金の活用——予算と期間の「二大障壁」を同時に突破

I社長の会社では、kintone導入にあたってIT導入補助金を活用しました。これがシステム移行の意思決定を大きく前進させた最初のポイントです。

IT導入補助金はITツールの導入費用に対して補助が受けられる制度です。フルスクラッチ開発では到底届かなかった予算の壁が、補助金の活用によって現実的な水準に下がりました。「費用がかかりすぎて動けない」という最大の懸念が解消されたことで、経営判断としてのGOサインが出せるようになりました。

「補助金があるとわかって、初めて本気で検討できた。費用の不安感がなくなると、あとは動くだけだった」

2. 段階的移行の設計——1年半かけて全業務・全機能をリスクなく移行

移行設計において最も重要だったのは「一気に移行しない」という原則です。

まず優先度の高い業務領域からkintoneへの移行を開始し、現行システムと並行運用しながら動作確認を重ねます。問題がなければ次の業務領域へ——このサイクルを繰り返すことで、「業務が止まるリスク」を最小限に抑えながら移行を進めました。

I社長の会社では、補助金の実施期間終了後も伴走支援を継続する形で、約1年半をかけてほぼすべての業務と機能をkintoneへ移行し切りました。焦らず・確実に・リスクを分散しながら進める移行設計が、50名規模の会社での成功を支えました。

「一気にやろうとしていたら絶対に途中で詰まっていた。少しずつ、確かめながら進めてもらえたのが正解だったと思う」

3. 毎月定例MTGによる継続的な改善——急な機能追加にも即対応

システム移行が完了した後も、業務は変化し続けます。I社長の会社では、導入後も毎月の定例MTGを設けて継続的な改善を実施しました。

「この機能を追加したい」「このフローを変えたい」という現場からの要望が出たとき、kintoneの柔軟性と月次MTGの体制があることで、急な機能追加にも短期間で対応できる環境が整っています。フルスクラッチシステムであれば仕様変更のたびに数ヶ月・数百万円かかっていた改修が、kintoneなら迅速かつ低コストで実現できます。

「kintoneの柔軟性と構築のスピードは圧巻です。毎月の定期的なMTGにより、急な機能追加にも対応いただき、本当に助かっています」

kintone移行で変わった「3つのこと」

1. システム停止リスクから解放された

「担当SEが引退したらシステムが止まるかもしれない」というプレッシャーが、kintoneへの移行完了によって完全に解消されました。クラウドベースのkintoneはサイボウズ社が安定稼働を保証しており、特定の人物に依存しない運用体制が実現しています。

2. システムの改修スピードが劇的に上がった

オリジナルシステムでは仕様変更のたびに担当SEへの依頼・工数見積もり・改修・テストというサイクルが必要でした。kintoneへの移行後は、業務の変化に合わせた機能追加や画面変更が短期間で対応できるようになりました。「システムが業務についてこれない」という慢性的な不満がなくなりました。

3. 経営判断としてのDXが現実になった

「いつかやらなければ」と思いながら踏み出せなかったシステム移行が、補助金活用という現実的な入口によって動き出しました。1年半という時間をかけて積み上げた移行の積み重ねが、会社全体のDXの土台になっています。

I社長の場合、移行完了後こう変わった

移行完了から数ヶ月後、I社長はこう話してくれました。

 

「以前は『このシステム、いつ止まるんだろう』という不安を抱えながら毎日仕事をしていた。今はその不安がない。それだけで、経営者としての精神的な余裕がぜんぜん違う」

 

業務の柔軟性も大きく上がりました。以前は「システムがこうなっているから、業務フローはこうするしかない」という制約がありましたが、kintoneへの移行後は「業務フローをこう変えたいから、システムをこう変える」という順序で改善が動かせるようになっています。

こんな印刷業・製造業に特におすすめです

 

社内SEや特定の担当者に依存した基幹システムがあり、後継者問題を抱えている

kintoneへの移行で、特定の人物への依存をなくし、持続可能な運用体制を構築できます。移行は段階的に進められるため、現行業務を止めずに進めることができます。

 

フルスクラッチ開発の見積もりが予算を大幅に超えており、システム移行を諦めかけている

kintoneはフルスクラッチの数分の一のコストで、既存業務フローを再現したシステムを構築できます。IT導入補助金の活用でさらに実質的な負担を抑えることができます。

 

現行システムの仕様書が残っておらず、ブラックボックス化している

kintoneへの移行作業そのものが、業務フローの整理と可視化になります。「なぜそうなっているか」を一つひとつ確認しながら再設計することで、長年の暗黙ルールが明文化されます。

 

システムの機能追加・仕様変更のたびにコストと時間がかかりすぎている

kintoneは業務の変化に合わせて迅速に改修・拡張ができます。月次MTGのような継続的な支援体制と組み合わせることで、業務の進化にシステムが追いつき続ける環境が整います。

 

従業員50名前後の規模で、大企業向けの高額パッケージシステムは過剰だと感じている

kintoneは規模に応じた柔軟な設計が可能です。必要な機能だけを必要な範囲で構築できるため、中小企業にとって最も費用対効果の高い選択肢のひとつです。

印刷業のkintone導入・移行の流れ

 

STEP 1:ヒアリング(現行システムの棚卸し) 現在の基幹システムでどの業務をどう管理しているかをお聞きします。仕様書がなくても構いません。実際の画面や運用フローをもとに、kintoneで再現すべき機能を整理していきます。所要時間は2〜3時間程度。

STEP 2:移行設計(優先順位と段階移行のロードマップ作成) 全業務を一度に移行せず、リスクの低い領域・効果の高い領域から順番に移行するロードマップを設計します。補助金の活用計画も同時に検討します。

STEP 3:構築・並行運用(現行システムを止めずに移行を進める) 現行システムと並行してkintoneでの運用を開始します。業務領域ごとに切り替えを進めながら、現場の確認を丁寧に重ねます。

STEP 4:全機能移行・継続支援 すべての業務・機能のkintone移行が完了した後も、月次MTGなどによる継続的な改善支援を提供します。業務の変化に合わせた機能追加にも迅速に対応します。

「いつかやらなければ」を「今始める」に変えるために

システム移行を先送りにするリスクは、時間が経つほど大きくなります。担当SEがいる今だからこそ、移行に必要な知識の引き継ぎができます。移行先を探す時間的余裕があります。補助金を活用できる可能性があります。

逆に「止まってから動く」では、業務継続しながらの緊急移行という最もコストが高く、リスクが大きい選択肢しか残りません。

kintoneへの移行は、一日で終わるプロジェクトではありません。しかし正しい設計と段階的なアプローチで進めれば、業務を止めずに確実に移行し切ることができます。I社長の会社が1年半で実現したように。

「今の状況を誰かに話したい」という段階でも構いません。まずは現状をお聞かせください。

まとめ

  • 社内SE高齢化による基幹システムのリスクは、kintoneへの段階的移行で現実的に解決できる
  • フルスクラッチ開発の予算・期間の壁を、IT導入補助金×kintoneの組み合わせで突破できる
  • 既存業務フローを再現しながら段階的に移行することで、「業務を止めないリスク分散移行」が可能
  • 移行完了後も月次MTGによる継続支援で、急な機能追加や業務変化への対応がスピーディに実現
  • kintoneの柔軟性により、「業務フローに合わせてシステムを変える」サイクルが低コストで回り続ける
  • 「いつか移行しなければ」という状況ほど、補助金が使える今が動き出す最大のチャンス

 

印刷業・製造業の基幹システム移行にkintoneをご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。現行システムの状況をお聞きした上で、現実的な移行プランをご提案します。まずは無料ヒアリングからどうぞ。

 

大阪府の補助金を活用してkintoneを導入しませんか?

kintoneの導入費用は、大阪府が実施する「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」の補助金を活用できる可能性があります。物価高騰の厳しい環境のなか、賃金引き上げに向けて利益率の向上に取り組む府内中小企業を幅広く支援する制度です。

 

補助金の概要

正式名称 令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業

補助金上限 500万円(補助率 2/3)

採択者数 600者程度

申請期間 2025年5月25日(月)〜 6月26日(金)17:00まで

対象者 大阪府内に本店または主たる事業所を有する中小企業者等(1年後に給与支給総額を2.0%以上引き上げることを目標とし、目標値を従業員に宣言した者)

kintone導入によるシステム構築費・開発費・専門家経費・外注費などは補助対象経費に含まれます。老朽化した基幹システムの移行・業務効率化を通じて利益率を高める取り組みとして、kintoneへのシステム移行はまさにこの補助金の趣旨に合致します。

採択者のうち100者には専門家による伴走支援(無料・約6か月)も実施されます。kintone導入後の定着・活用まで手厚くサポートを受けられる点も、この補助金の大きな魅力です。

 

【注意事項】

・本補助金は補助事業完了後の精算払いです。

・申請は事業者自身が行う必要があります(外部支援者による代理申請は不可)。

・他の補助金との重複受給は認められません。

・詳細は必ず募集要項をご確認ください。

補助金の活用も含めたkintone導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。申請締切(6月26日)が迫っておりますので、ご興味のある方はお早めにご連絡いただけますと幸いです。