映像制作会社のkintone導入事例|SlackとExcelの「情報の流れ」を止め、案件管理から予実・人事評価まで全社DXを加速させた事例
まず聞かせてください。こんな状況、心当たりありませんか?
- Slackで案件ごとにチャンネルを作っているが、重要な決定事項や期日がトークに流れてしまい、後から探すのが大変
- 請求書を出し忘れた、支払いが漏れていた、というミスが繰り返し発生している
- 案件管理はSlack、スケジュールはExcel、経費はまた別のファイル——と情報が複数のツールに分散している
- 「あのファイルどこだっけ」「あの件どうなった?」の確認コストが社内で慢性化している
- ITツールは使いこなしているつもりだが、なんとなく最適化できていない気がしている
もしひとつでも「あるある」と感じたなら、この記事はあなたのために書きました。
映像制作会社のkintone導入事例——G社長(30代)の場合
G社長は、映像制作会社を経営する30代の代表取締役です。スタッフは10名以下。企業VP・CM・WEB動画など幅広い映像制作を手がけており、案件の規模も種類も多岐にわたります。
G社長はITリテラシーが低い方ではありません。Slackを使いこなし、案件ごとにチャンネルを作って情報共有する仕組みも整えていました。「ツールは使えている。でも、なんかうまく回っていない」——そんな感覚を持ちながらも、具体的に何が問題なのかを言語化できずにいました。
その「なんか」の正体が、あるとき一気に顕在化します。
「請求漏れが続いていて、月末に慌てて確認するのが当たり前になっていた。Slackのどこかに話した気がするけど、流れてしまっていて誰も拾えていなかった。ミスというより、構造の問題だと気づいた」
案件ごとにSlackチャンネルを作るやり方は、コミュニケーション速度という点では優れています。しかしチャット形式の宿命として、重要事項は時間とともに「過去のトーク」の中に埋まっていきます。「請求はいつ?」「支払い確認した?」という情報が、雑談や進捗報告と同じ流れの中に混在する構造では、抜け漏れは起きて当然でした。
Slackを補うためにExcelファイルも複数運用していましたが、どのファイルが最新かわからなくなる、更新者によって書き方がバラバラ、といった問題も積み重なっていました。
「ツールが悪いんじゃなくて、使い方が最適化できていなかっただけ。でもどこから手をつければいいかわからなくて、ズルズルきてしまっていた」
このG社長の会社に、私たちはkintoneの導入支援を行いました。
映像制作会社の「ツール最適化の壁」——なぜSlackとExcelでは追いつかなくなるのか
G社長のように、Slackをしっかり活用している会社がkintoneを必要とする理由は、「Slackが悪いツールだから」ではありません。Slackはリアルタイムのコミュニケーションに特化したツールであり、そこに「記録・管理・追跡」の役割まで担わせようとすると、どうしても限界が来ます。
Slackで管理しきれない情報をExcelで補おうとすると、今度はExcelが「誰かしか更新しない」「どれが最新かわからない」という問題を生みます。ツールを増やせば増やすほど、情報の分散が進み、確認コストが上がっていく——映像制作のような案件数が多くスピードが求められる現場では、このコストが積み上がっていきます。
必要なのは、ツールを増やすことではなく「情報が集まる場所を一か所に決めること」です。
そもそもkintoneとは?映像制作会社との相性がいい理由
kintoneは、サイボウズ社が提供する業務アプリ作成ツールです。プログラミングなしで、自社の業務に合わせた管理画面を作れます。
映像制作会社との相性が特によい理由は2つあります。
ひとつは「案件の複雑な構造に対応できる柔軟性」。映像制作の案件は、クライアント・ディレクター・カメラマン・編集者など関わる人物が多く、工程も複雑です。kintoneはアプリ間のリレーション設計により、「誰が・どの案件に・どの工程で関わっているか」を正確に管理できます。
もうひとつは「スタッフ全員が使い続けられる入力設計の自由度」。現場の入力負担を最小限に抑えた画面設計ができるため、「入れたけど誰も使わなくなった」を防ぐことができます。スタッフが自発的に使うようになるかどうかは、この設計の質に大きく左右されます。
映像制作会社のkintone——Slack+Excel管理との違いはここ
| 比較項目 | Slack+Excel管理 | kintone導入後 |
| 重要事項の保存 | × チャットに流れる | ◎ レコードとして永続保存 |
| 請求・支払い管理 | × 漏れが多発 | ◎ ステータスで自動追跡 |
| 案件進捗の可視化 | △ チャンネルを横断して確認 | ◎ ダッシュボードで一目把握 |
| ファイル・情報の一元化 | × 複数ツールに分散 | ◎ kintoneに集約 |
| 予実・KPI管理 | × 別途Excelで対応 | ◎ kintone内で自動集計 |
| スタッフの主体的活用 | △ 情報を拾う手間がある | ◎ 全員がDX思考で動く |
Slackは「話す場所」、kintoneは「管理する場所」と役割を分けることで、それぞれのツールが本来の力を発揮するようになります。
プロが設計した「3つのステップ」
1. まずは基本の3アプリから——顧客・案件・活動で土台を固める
導入初期は、「完璧なシステムを一気に作ろうとしない」ことが成功の鍵です。G社長の会社でも、最初に構築したのは顧客管理・案件管理・活動記録の3アプリだけでした。
顧客アプリにクライアント情報を登録し、案件アプリと紐付ける。案件ごとに進捗ステータスを設け、「商談中→受注→制作中→納品→請求待ち→入金確認」というフローをkintoneのプロセス管理として再現する。活動記録アプリで打ち合わせ内容・クライアントとのやり取りを蓄積する。
この3アプリが正しく機能するだけで、Slackに流れていた重要事項が「レコード」として確実に保存されるようになります。請求漏れ・支払い漏れも、案件ステータスの管理によって構造的に防げるようになりました。
「最初は『こんなシンプルでいいのか』と思った。でも使い始めてみたら、これだけでSlackのときの情報流失がほぼなくなった」
2. サブ社員をプロジェクトに巻き込む——現場の声を設計に反映する
G社長の会社でDX化が急速に加速した最大の要因は、kintoneの運用設計にスタッフを巻き込んだことです。
「社長が決めたシステムをスタッフが使う」という構図では、現場の入力負担が設計に反映されにくく、使われなくなるリスクが高まります。G社長の会社では、実際に入力する現場スタッフの「ここが入力しにくい」「この情報は毎回確認するから見やすくしたい」という声を積極的に拾いながら設計を進めました。
社長の「管理したい情報」と、スタッフの「入力しやすい画面」——この両方を同時に満たす設計にすることで、使い続けられるシステムが生まれます。
「スタッフが自分たちのツールだと思えたことが大きかった。自分たちで使いやすくしたから、自分たちで使う。当たり前のようで、これができている会社は意外と少ない」
3. 基本3アプリを土台に、管理領域を一気に拡張する
顧客・案件・活動の3アプリが社内に定着したあと、G社長の会社ではDX化の範囲が見る見るうちに広がっていきました。
予実管理では、案件ごとの予算と実績を自動集計するダッシュボードを構築。制作コストの過不足がリアルタイムで把握できるようになりました。人事評価では、スタッフごとの案件関与履歴・活動量・スキルタグをkintoneで一元管理し、評価の属人化を防ぐ仕組みを整えました。KPI管理では、月次の受注件数・売上・稼働率・顧客別売上推移を自動集計するレポートを設計し、経営判断に使えるデータが常に最新の状態で確認できるようになっています。
これらはすべて、最初の3アプリというシンプルな土台の上に積み上げられたものです。

kintone導入で変わった「3つのこと」
1. 「情報を探す時間」がなくなった
Slackのトークを遡る作業、Excelファイルを複数開いて照合する作業——こうした「情報を探す時間」が、kintoneへの一元化によってほぼゼロになりました。案件名で検索すれば、その案件に関するすべての情報が1画面に集まっています。
2. 請求・支払いの「漏れ」が構造的になくなった
案件ステータスの管理により、「請求待ち」「入金未確認」の案件が常にリストアップされます。アクションが必要な案件を能動的に探さなくても、kintoneが自動で教えてくれる仕組みです。ミスを「気をつける」のではなく、「起きない構造を作る」——この発想の転換が、漏れの撲滅につながりました。
3. スタッフ全員が「DX思考」で動くようになった
最も大きな変化は、スタッフの意識の変化でした。kintoneを自分たちのツールとして使い始めたスタッフが、業務の中で「これもkintoneで管理できないか」と考えるようになっていきました。
「全スタッフが率先して、何かあればkintoneに置き換えられないか・管理できないかを考えられる思考になれた。これが一番の変化だと思っている」
ツールの導入が目的ではなく、「考え方が変わること」が本当のゴール——G社長の言葉は、kintone導入の本質をよく表しています。

G社長の場合、導入後こう変わった
導入から半年後、G社長の会社では管理しているkintoneアプリが当初の3つから大きく増えていました。予実管理・人事評価・KPI集計・スケジュール管理・スタッフ稼働管理——かつてSlackとExcelに分散していた情報のほぼすべてが、kintoneに集まっています。
「最初は正直、kintoneってそんなに変わるのかなと思っていた。でも今は、これがなかった頃にどうやって会社を回していたのか思い出せない」
こんな映像制作・クリエイティブ系企業に特におすすめです
✔ SlackやチャットツールをメインにしているがSlackで重要事項が流れて困っている
チャットは「話す場所」、kintoneは「管理する場所」として役割を分けることで、両方のツールが本来の強みを発揮します。Slackを捨てる必要はありません。
✔ 請求漏れ・支払い漏れが繰り返し発生しており、「気をつける」以外の対策を探している
案件ステータスの管理によって、請求と支払いの漏れを構造的になくすことができます。属人的な注意力に頼らない仕組みを作ることが、根本解決につながります。
✔ ツールが複数に分散していて、情報の確認コストが高くなっている
kintoneを情報の「集約点」として設計することで、「あのファイルどこだっけ」の検索コストをゼロにできます。
✔ ITリテラシーは高いが、現在の管理が最適化されていない気がしている
ツールを使えていることと、ツールが最適化されていることは別です。kintoneは業務設計から見直すことで、ITリテラシーが高い方ほど大きな効果を実感できます。
✔ スタッフを巻き込んだDXを進めたいが、何から始めればいいかわからない
まずは顧客・案件・活動の基本3アプリから始めるのが、最もリスクが低く定着率が高いアプローチです。小さく始めて、スタッフと一緒に育てていく進め方が成功の鍵です。
映像制作会社のkintone導入の流れ
STEP 1:ヒアリング(現状の整理) 現在どのツールで何を管理しているかをお聞きします。Slackのチャンネル構成・Excelファイルの種類・最も手間がかかっている業務を確認します。所要時間は1〜2時間程度。
STEP 2:設計(基本3アプリの構造を決める) 顧客・案件・活動の3アプリを軸に、どの情報をどこに集めるかを設計します。現場スタッフの入力負担を最小限にする画面設計を同時に行います。
STEP 3:構築・テスト(スタッフの声を反映する) 実際のスタッフに使ってもらいながら動作確認します。「ここが入力しにくい」「この表示があると便利」という現場の声を積極的に拾い、設計に反映します。
STEP 4:運用開始・拡張フォロー 基本3アプリの運用が安定したら、予実管理・KPI集計など管理領域の拡張をサポートします。全体のスケジュールは2〜3ヶ月程度が目安です。
「ツールは使えているのに最適化できていない」と感じている方へ
Slackを使いこなし、Excelで管理している——それ自体は正しい取り組みです。問題は「どのツールを使うか」ではなく、「どこに情報を集めるか」という設計の問題です。
kintoneはツールを増やすものではありません。散らばっている情報を一か所に集め、「管理する場所」を明確にするものです。使い始めると、「今まで情報を探すことにどれだけ時間を使っていたか」が初めて実感できます。
そして最終的には、G社長の会社のように「スタッフ全員がDX思考で動く」状態を目指せます。ツールが会社の文化を変える——その変化は、基本3アプリというシンプルな一歩から始まります。
まとめ
- SlackとExcelの組み合わせが生む「情報流失」と「漏れ」は、ツールの問題ではなく設計の問題
- kintoneはSlackを置き換えるものではなく「情報を管理する場所」として役割分担させるのが正解
- まず顧客・案件・活動の基本3アプリから始めることで、請求漏れ・支払い漏れを構造的に解消できる
- 現場スタッフをプロジェクトに巻き込み、入力負担を最小限にする設計がDX定着の鍵
- 基本3アプリが定着すれば、予実管理・人事評価・KPI集計へとDX化の範囲を自然に拡張できる
- 最大の変化はスタッフ全員が「kintoneで管理できないか」と考えるDX思考が生まれること
映像制作会社・クリエイティブ系企業のkintone導入に興味が出てきた方は、ぜひ一度ご相談ください。現在のツール構成をお聞きした上で、最適な設計をご提案します。まずは無料ヒアリングからどうぞ。
大阪府の補助金を活用してkintoneを導入しませんか?
kintoneの導入費用は、大阪府が実施する「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」の補助金を活用できる可能性があります。物価高騰の厳しい環境のなか、賃金引き上げに向けて利益率の向上に取り組む府内中小企業を幅広く支援する制度です。
補助金の概要
正式名称 令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業
補助金上限 500万円(補助率 2/3)
採択者数 600者程度
申請期間 2025年5月25日(月)〜 6月26日(金)17:00まで
対象者 大阪府内に本店または主たる事業所を有する中小企業者等(1年後に給与支給総額を2.0%以上引き上げることを目標とし、目標値を従業員に宣言した者)
kintone導入によるシステム構築費・開発費・専門家経費・外注費などは補助対象経費に含まれます。生産性向上や売上拡大を通じて利益率を高める取り組みとして、kintoneによる業務効率化・情報一元化はまさにこの補助金の趣旨に合致します。
採択者のうち100者には専門家による伴走支援(無料・約6か月)も実施されます。kintone導入後の定着・活用まで手厚くサポートを受けられる点も、この補助金の大きな魅力です。
【注意事項】
・本補助金は補助事業完了後の精算払いです。
・申請は事業者自身が行う必要があります(外部支援者による代理申請は不可)。
・他の補助金との重複受給は認められません。
・詳細は必ず募集要項をご確認ください。
補助金の活用も含めたkintone導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。申請締切(6月26日)が迫っておりますので、ご興味のある方はお早めにご連絡いただけますと幸いです。
