会計事務所のkintone導入事例|専用ソフト「flow」の限界を超えて——10名から30名への組織拡大を支えた「生産性の完全可視化」DX事例

まず聞かせてください。こんな状況、心当たりありませんか?

  • 会計・税務専用ソフトは使いこなしているが、事業が拡大するにつれて「ソフトの外」で管理しなければならない情報が増えてきている
  • スプレッドシートで補っているが、情報が分散して管理が煩雑になってきた
  • スタッフが増えるにつれて「誰がどのくらい仕事を抱えているか」が見えなくなり、業務配分の偏りが生じている
  • 顧客ごとに管理が必要な独自の情報があり、既存ソフトでは対応しきれずに属人化している
  • 組織が大きくなったとき、生産性をデータで評価・改善できる仕組みを今から整えておきたい

 

もしひとつでも「あるある」と感じたなら、この記事はあなたのために書きました。

会計事務所のkintone導入事例——L所長(30代)の場合

L所長は、会計事務所を経営する30代の代表取締役です。スタッフは現在30名程度。導入当初は10名規模でしたが、kintoneを活用しながら組織を拡大し、現在の規模に至っています。

kintone導入以前、事務所の業務管理には会計・税理士事務所向けの専用ソフト「flow」を活用していました。flowは税務・会計業務に特化した機能が揃っており、特段の不満はありませんでした。しかし事業の拡大に伴い、「flowでは管理しきれない情報」が少しずつ増えてきていました。

 

「flowの機能は十分使えていた。でも顧客ごとに独自の管理項目が出てきたり、スタッフ間の業務状況を横断的に把握したかったりと、flowの外に出る情報が増えてきた。スプレッドシートで補ってはいたけど、これが本当に最善かという疑問があった」

 

より良い管理の仕組みを探す中でkintoneに出会い、導入を決断しました。しかしここで重要な判断がありました。それは「flowを捨てて一気に移行するのではなく、flowのUIや機能をできる限りkintoneで再現しながら段階的に移行する」というアプローチを取ったことです。

スタッフにとって、慣れ親しんだシステムが突然変わることは大きなストレスです。「移行した直後から現場が混乱する」という事態を避けるために、まずは「今と同じように使える」状態を作ることを優先しました。

 

「最初はflowのUIに近い形で作ってもらった。見た目や操作感が似ていることで、スタッフが戸惑わずに使い始められた。これが移行をスムーズにした一番の要因だと思っています」

 

このL所長の事務所に、私たちはkintoneの導入・移行支援を行いました。

会計事務所の「専用ソフトの限界」——なぜ業務拡大とともにソフトの外が増えるのか

flowをはじめとする会計・税務専用ソフトは、税務申告・記帳管理・顧客台帳など「コアとなる業務」には高い完成度を持っています。しかし専用ソフトの宿命として、「自社固有の管理ニーズ」に対応する柔軟性には限界があります。

事務所が成長するにつれて生まれる「ソフトの外」の情報とは何かというと、たとえばこういったものです。顧客ごとの特記事項・契約内容の独自フラグ・スタッフ別の担当顧客一覧・業務ごとの所要時間の記録・チーム単位の生産性データ——これらはいずれも「税務ソフトの範囲外」ですが、組織が大きくなるほど経営判断に欠かせない情報です。

スプレッドシートでの補完は、短期的には有効です。しかしスタッフが増え、顧客数が増えると、複数のスプレッドシートが乱立し、「どれが最新か」「誰が管理しているか」がわからなくなっていきます。kintoneはこの「ソフトの外」を統合する場所として機能します。

そもそもkintoneとは?会計事務所との相性がいい理由

kintoneは、サイボウズ社が提供する業務アプリ作成ツールです。プログラミングなしで、自社の業務に合わせた管理画面を作れます。

会計事務所との相性が特によい理由は2つあります。

ひとつは「既存ソフトの操作感を再現しながら、独自の管理項目を柔軟に追加できること」。flowのような専用ソフトに慣れたスタッフが違和感なく移行できる画面を設計しつつ、専用ソフトでは対応できなかった独自の管理ニーズをアプリとして追加できます。

もうひとつは「業務時間の記録と生産性の可視化ができること」。スタッフが日々の業務にかかった時間を入力するだけで、個人・チーム・会社・顧客単位の生産性がリアルタイムで集計されます。組織が大きくなるほど、この「可視化」の価値は大きくなります。

会計事務所のkintone——flow+スプレッドシート管理との違いはここ

 

比較項目 flow+スプレッドシート kintone導入後
独自管理項目への対応 × ソフト外でスプレッドシート管理 ◎ カスタムアプリで柔軟に対応
顧客ごとの情報管理 △ 顧客台帳はあるが独自項目に限界 ◎ 顧客ごとに専用アプリで完全管理
スタッフの業務状況の把握 × 見えにくい・聞かないとわからない ◎ 時間入力で生産性をリアルタイム可視化
組織単位の生産性分析 × データが散在して集計できない ◎ 個人・チーム・会社・顧客単位で自動集計
移行時のスタッフのストレス × ソフト変更に不安・抵抗感 ◎ flowに近いUIで移行ストレスを最小化
組織拡大への対応 △ スタッフ増加で管理が複雑化 ◎ 規模が大きくなるほど効果が増す設計

 

flowはコア業務の要として引き続き活用しながら、kintoneが「flowの外」を統合する——この役割分担が、会計事務所におけるkintone活用の正しいかたちです。

プロが設計した「3つのアプローチ」

1. flowのUIをkintoneで再現——移行ストレスをゼロに近づける

移行支援で最初に取り組んだのは、「今と同じように使える」状態を作ることです。flowで慣れ親しんだ画面構成・入力項目の順序・表示される情報の種類——これらをできる限りkintoneで再現した画面設計を行いました。

「新しいシステムに変わった」というストレスを最小限に抑えることで、スタッフが抵抗感なく使い始められる入口を作りました。慣れてきたタイミングで、flowでは対応できなかった独自機能を少しずつ追加していく——この順序が、定着率を大きく左右しました。

「最初はflowの機能やUIをできるだけkintoneで表現してもらいました。そこでシステム移行の現場のストレスを減らせたことが、今振り返っても良かったポイントだと思っています」

2. 顧客ごとの独自管理アプリ——「ソフトの外」の情報を一元化する

flowに収まらなかった情報を、顧客ごとの専用アプリとしてkintoneに構築しました。

たとえば、顧客ごとに異なる契約内容の特記事項、特定の顧客にだけ必要な書類の管理フラグ、顧客別の担当スタッフの履歴——こうした「その顧客ならではの情報」を、顧客アプリのレコードに紐づける形で管理できるようになりました。スプレッドシートに散らばっていた情報が顧客を起点に集まることで、「この顧客について知りたいことはここを見ればすべてわかる」という状態が実現しました。

移行も一気にではなく、顧客ごと・業務種別ごとに順番に進めることで、現場の混乱を最小限に抑えながら着実に移行を完了させました。

3. 業務時間の記録と生産性の完全可視化——組織が大きくなるほど威力を発揮する仕組み

L所長の事務所で最も大きな収穫となったのが、業務時間の記録による生産性の可視化です。

スタッフが毎日の業務に対してかかった時間をkintoneに入力します。この入力データが自動集計されることで、個人単位・チーム単位・会社単位・顧客単位それぞれの労働生産性がダッシュボードでリアルタイムに確認できるようになりました。

「この顧客対応にどのくらいの時間がかかっているか」「このスタッフは今月どの業務に時間を使っているか」「このチームの生産性は先月と比べてどう変化したか」——こうした問いに、データで答えられるようになります。感覚的だった業務配分が、数字に基づいた意思決定に変わりました。

「業務に対してかかった時間を毎日入力することで、個人の労働生産性、チーム単位、会社単位、顧客単位ですべて可視化できています。スタッフが10名のときに仕組みを作っておいたことで、30名になった今もデータが蓄積されていて、適切な人員配置の判断に使えています」

kintone導入で変わった「3つのこと」

1. 「誰がどのくらい仕事を抱えているか」が数字でわかるようになった

スタッフの業務量の偏りは、組織が大きくなるほど見えにくくなります。kintoneの生産性可視化によって、特定のスタッフへの業務集中・余力のあるスタッフの存在・対応時間がかかりすぎている顧客案件——こうした「見えていなかった現実」がデータとして浮かび上がるようになりました。

2. 組織拡大のスピードにシステムがついてこれるようになった

スタッフが10名から30名に増える過程で、管理の仕組みを都度作り直す必要がありませんでした。kintoneの柔軟な拡張性により、「スタッフが増えた→担当顧客アプリに新スタッフを追加する」「チームが増えた→チーム単位の集計ダッシュボードを追加する」という形で、組織の成長に合わせてシステムを育てることができました。

3. データに基づく人員配置と評価が実現した

生産性データが蓄積されることで、「感覚」ではなく「数字」に基づいた人員配置・業務改善・スタッフ評価が可能になりました。「このチームは生産性が高いが特定業務に偏っている」「この顧客対応は想定の倍の時間がかかっている」という気づきが、経営判断の精度を上げています。

L所長の場合、導入後こう変わった

スタッフ30名規模になった今、L所長はこう振り返ります。

 

「10名のときにkintoneを入れておいたことは、本当に正解だった。あのとき仕組みを作っておいたから、30名になっても生産性データが全部残っている。今から入れていたら、過去のデータがない状態から始めることになっていた」

 

移行時のアプローチも、振り返れば重要な決断でした。

 

「flowを捨てるのではなく、まずflowに近い形で作ってもらったことで、スタッフが『使えない』と感じる場面がなかった。システム移行って、現場のストレスが一番の失敗原因だと思う。そこをうまく設計してもらえたことが、今のスムーズな運用につながっています」

こんな会計事務所・士業事務所に特におすすめです

 

業務専用ソフトは使えているが、ソフトの外でスプレッドシート管理が増えてきている

専用ソフトの外にあふれた管理情報をkintoneに集約することで、「何をどこで管理するか」の整理が一度でつきます。専用ソフトとkintoneの役割分担が、最もバランスの良い管理体制を生みます。

 

スタッフが増えてきて、誰がどの業務をどのくらいの時間でこなしているかが見えなくなっている

業務時間の記録アプリを導入することで、個人・チーム・会社・顧客単位の生産性がリアルタイムで可視化されます。感覚的な業務配分から、データに基づく人員管理への転換が実現します。

 

顧客ごとに異なる独自の管理情報があり、現在は担当スタッフの頭の中か個別ファイルで管理している

顧客ごとの専用アプリで独自情報を構造化することで、担当者が変わっても情報が引き継がれる仕組みが生まれます。属人化の解消と顧客管理の品質向上を同時に実現できます。

 

今は小規模だが、将来的な組織拡大を見据えて、今のうちに管理の仕組みを整えておきたい

生産性データは蓄積されるほど価値が高まります。小規模な今から始めることで、組織が大きくなったときに「比較できる過去のデータ」が手元にある状態を作れます。

 

既存システムからの移行でスタッフへの負担が大きくなることを懸念している

既存ソフトのUIや操作感をkintoneで再現しながら段階的に移行する設計が可能です。「突然ガラッと変わる」ではなく「気づいたら移行できていた」という移行体験を作ることが、定着の決め手になります。

会計事務所のkintone導入の流れ

 

STEP 1:ヒアリング(現在のシステム構成と管理の全体像を整理) 現在どのソフトで何を管理しているか、スプレッドシートで補完している情報の種類、スタッフ数と組織構成をお聞きします。「ソフトの外にある情報」を洗い出すことが最初の重要な作業です。所要時間は1〜2時間程度。

STEP 2:移行設計(既存UIの再現と独自機能の優先順位を決める) 既存ソフトの操作感を再現した基本アプリを設計します。並行して、スプレッドシートで管理していた独自情報をどのアプリに集約するかの設計を行います。生産性可視化のための時間記録アプリの設計もこの段階で行います。

STEP 3:構築・段階移行(現場ストレスを最小化しながら移行を進める) まず既存ソフトに近い基本アプリから運用開始し、現場が慣れたタイミングで独自管理アプリを順次追加します。一気に移行せず、業務領域ごとに確認しながら進めます。

STEP 4:継続改善・組織拡大フォロー スタッフが増えるたびに担当設定・チーム構成をkintoneに反映します。生産性データが蓄積されてきたタイミングで、ダッシュボードの活用方法を一緒に考えます。

「今のソフトで困っていない」が、成長の壁になる前に

「今のシステムで特に不満はない」——これは現状への満足ではなく、「まだ成長の痛みを感じていない段階」かもしれません。

専用ソフトの外にスプレッドシートが増え始めたとき、それは「今のやり方の限界が近い」サインです。スタッフが増えて、顧客が増えて、管理が複雑になってからシステムを整えようとすると、移行コストは何倍にも膨らみます。

L所長が10名のときにkintoneを導入し、30名になっても生産性データが蓄積されている——この差は、「早く始めたこと」だけで生まれています。組織が大きくなる前に仕組みを作ることの価値は、後からでは買えません。

まとめ

  • 会計・税務専用ソフトの外にあふれた管理情報は、kintoneで一元化することでスプレッドシートの乱立を解消できる
  • 既存ソフトのUIをkintoneで再現しながら段階移行することで、スタッフの移行ストレスを最小化できる
  • 顧客ごとの独自管理情報をアプリ化することで、属人化を解消し担当者変更にも強い管理体制が生まれる
  • 業務ごとにかかった時間を記録するだけで、個人・チーム・会社・顧客単位の生産性がリアルタイムで自動集計される
  • 生産性データに基づく人員配置・業務改善・スタッフ評価が実現し、感覚頼りの組織運営から脱却できる
  • 小規模なうちから仕組みを作ることで、組織拡大後に「比較できる過去のデータ」が手元に残る

 

会計事務所・士業事務所のkintone導入に興味が出てきた方は、ぜひ一度ご相談ください。現在のシステム構成とスプレッドシートの管理状況をお聞きした上で、最適な移行設計をご提案します。まずは無料ヒアリングからどうぞ。

 

大阪府の補助金を活用してkintoneを導入しませんか?

kintoneの導入費用は、大阪府が実施する「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」の補助金を活用できる可能性があります。物価高騰の厳しい環境のなか、賃金引き上げに向けて利益率の向上に取り組む府内中小企業を幅広く支援する制度です。

 

補助金の概要

正式名称 令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業

補助金上限 500万円(補助率 2/3)

採択者数 600者程度

申請期間 2025年5月25日(月)〜 6月26日(金)17:00まで

対象者 大阪府内に本店または主たる事業所を有する中小企業者等(1年後に給与支給総額を2.0%以上引き上げることを目標とし、目標値を従業員に宣言した者)

kintone導入によるシステム構築費・開発費・専門家経費・外注費などは補助対象経費に含まれます。業務効率化・組織生産性の可視化を通じて利益率を高める取り組みとして、kintoneによる会計事務所のDXはまさにこの補助金の趣旨に合致します。

採択者のうち100者には専門家による伴走支援(無料・約6か月)も実施されます。kintone導入後の定着・活用まで手厚くサポートを受けられる点も、この補助金の大きな魅力です。

 

【注意事項】

・本補助金は補助事業完了後の精算払いです。

・申請は事業者自身が行う必要があります(外部支援者による代理申請は不可)。

・他の補助金との重複受給は認められません。

・詳細は必ず募集要項をご確認ください。

補助金の活用も含めたkintone導入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。申請締切(6月26日)が迫っておりますので、ご興味のある方はお早めにご連絡いただけますと幸いです。