太陽光発電システム営業のkintone導入事例|「営業の属人化が新人の成長を止めていた」——フォーマット化が商談を変え、チームの底上げを実現した標準化DXの事例

まず聞かせてください。こんな状況、心当たりありませんか?

  • 物件ごとにExcelシートを作成しているが、担当者によって書き方がバラバラで、引き継ぎのたびに確認が必要になる
  • 施工会社との情報連携でトラブルが起きており、「聞いていない」「伝えたはず」という行き違いが繰り返されている
  • ベテラン営業の成績は安定しているが、新人がなかなか成長しない。何が違うのかがわからない
  • 商談で必要な情報(物件情報・ヒアリング内容・工事条件)を担当者が個別に管理しており、組織としてのノウハウになっていない
  • 「システムを入れたい」と思っているが、まず何から整理すればいいかがわからない

 

もしひとつでも「あるある」と感じたなら、この記事はあなたのために書きました。

太陽光発電システム営業のkintone導入事例——T担当者(20代)の場合

T担当者は、太陽光発電システムの営業を手がける会社の20代の担当者です。住宅・法人向けに太陽光パネルの設置提案から施工手配・アフターフォローまでを担う営業として日々動き回るなかで、管理の非効率さに課題感を抱えていました。

最大の問題は「物件ごとのExcelシート」でした。商談が発生するたびに新しいシートを作り、顧客情報・物件の詳細・ヒアリング内容・施工条件をそのシートに書き込んでいく。担当者が変わればフォーマットが変わり、同じ「物件情報」でも人によって記載する項目が違う。情報の粒度も、表現の仕方も、全員バラバラでした。

 

「引き継ぎのときが特に大変でした。前任者のシートを見ても、何を書いているかわからないものがある。必要な情報がどこにあるかを探すことから始めないといけない」

 

施工会社との連携でもトラブルが絶えませんでした。工事に必要な情報が正確に伝わっていないまま施工日を迎えてしまい、現場で「この条件は聞いていない」という事態が繰り返される。原因をたどると、担当者から施工会社への情報共有が口頭・メール・Excel添付と統一されておらず、どこかで情報が落ちていることがほとんどでした。

そしてもうひとつ、見えにくい問題が静かに積み重なっていました。新人営業が育たない、という問題です。

 

「ベテランは感覚的に動けるから成績が出る。でも新人はその『感覚』が何なのかわからない。何を聞けばいいか、どう整理すればいいか、教わる機会もないままベテランの背中を見ているだけだった」

 

この課題を抱えるT担当者の会社に、私たちはkintoneの導入支援を行いました。

太陽光営業の「Excel管理の本当の問題」——フォーマットがないことが生む3つの弊害

太陽光発電システムの営業では、一つの物件に関わる情報が多岐にわたります。顧客の基本情報・物件の立地・屋根の形状・電気使用量・施工条件・見積内容・ヒアリングで明らかになった顧客の関心や懸念——これらを体系的に管理しなければ、商談の品質は担当者の経験値に依存してしまいます。

フォーマットがないことが生む弊害は3つあります。

ひとつは「情報の欠落」。人によって記録する項目が違うため、後から確認したときに「この情報がない」というケースが発生します。特に施工に関わる技術的な情報の欠落は、現場トラブルに直結します。

ふたつめは「ノウハウの属人化」。ベテランが自然にやっていることは、実は「商談で必要な情報を漏れなく引き出す質問の順序」や「施工会社に正確に伝えるべき情報の種類」です。これがフォーマットとして明文化されていないため、新人は「ベテランの真似」しかできません。

みっつめは「施工会社との情報ギャップ」。フォーマットのない情報共有は、受け取る側にとっても混乱の元です。「この情報は書いてあったが、あの情報は書いていなかった」という状態が繰り返されることで、施工会社との信頼関係も少しずつ傷ついていきます。

そもそもkintoneとは?太陽光発電営業との相性がいい理由

kintoneは、サイボウズ社が提供する業務アプリ作成ツールです。プログラミングなしで、自社の業務に合わせた管理画面を作れます。

太陽光発電営業との相性が特によい理由は2つあります。

ひとつは「必要情報を漏れなく入力させるフォーム設計ができること」。kintoneのアプリは「このフィールドは必須」「この項目を選んだら次のフィールドが表示される」という設計ができます。フォーム自体が「ヒアリングの設計書」として機能するため、新人でも必要な情報を漏れなく収集できるようになります。

もうひとつは「顧客・物件・工事・ヒアリングを連携させて1画面で把握できること」。アプリ間のリレーション設計により、ある物件に関するすべての情報——顧客の基本情報から工事の進捗まで——が1画面で確認できます。施工会社への情報共有も、kintoneの画面をそのまま見せるだけで完結します。

太陽光発電営業のkintone——Excel管理との違いはここ

 

比較項目 物件別Excel管理 kintone導入後
情報のフォーマット × 担当者ごとにバラバラ ◎ アプリのフォームで全員統一
必要情報の網羅性 × 書く人によって欠落が発生 ◎ 必須項目設定で漏れを防止
施工会社への情報共有 × 口頭・メール・添付でバラバラ ◎ kintone画面で正確に共有
新人の商談品質 × ベテランの感覚に依存 ◎ フォームが商談ガイドになる
物件情報の検索・引き継ぎ × シートを探して読み解く必要 ◎ 検索で即座に全情報表示
ノウハウの組織共有 × 個人の頭の中に蓄積 ◎ フォーマットとして全員が使える

 

Excelは「書く人の自由」が高いツールです。その自由さが、複数人で使うときに「バラバラ」を生みます。kintoneのアプリは「入力すべき項目が決まっている」設計にすることで、誰が使っても同じ形式で情報が残ります。

プロが設計した「4つのアプリと、気づきの連鎖」

T担当者の会社での導入設計において、最初の重要なステップは「システムを作る前に業務を標準化すること」でした。

 

「kintoneに何を入れるかを考えたとき、まず『今どんな情報が必要か』を整理する必要があった。それをやってみて初めて、自分たちの業務がいかに整理されていなかったかに気づいた」

 

kintoneの導入は、業務の棚卸しという副産物をもたらしました。「何をアプリに入れるか」を決める作業が、「自分たちの営業プロセスで何が重要か」を明文化する作業と同義だったのです。

1. 顧客管理アプリ——すべての情報の起点

顧客の基本情報(氏名・住所・連絡先・建物種別・家族構成)に加え、「太陽光に関心を持ったきっかけ」「電気代の月額概算」「現在の契約電力会社」など、提案の質を左右するヒアリング情報を標準項目として設計しました。

「こういう情報、ベテランは自然に聞いているけど、新人は聞けていなかった」——この気づきが、顧客アプリの設計に反映されています。フォームに項目があるだけで、新人は「これを聞かなければ」と意識できます。アプリが商談の質問リストとして機能する設計です。

2. 物件管理アプリ——施工に必要な情報を漏れなく記録する

太陽光パネルの設置には、屋根の形状・向き・傾斜・素材・建物の築年数・電気の引き込み方式など、施工に直結する技術的な情報が必要です。これらを物件管理アプリの必須項目として設計しました。

「この項目が空欄のまま案件が進んでいた」というケースが過去に何度もあったことが、設計の議論の中で明らかになりました。必須項目として設定することで、情報の欠落が原因の施工トラブルを構造的に防げるようになります。

3. 工事管理アプリ——施工会社との連携を「見える化」する

施工会社への発注情報・工事日程・施工担当者・完了確認・アフターフォロー状況を管理するアプリです。物件管理アプリとリレーションで連携しており、施工会社は物件情報を正確に把握した状態で工事に入れます。

「聞いていない」というトラブルの根本原因は、「何を伝えるべきか」の基準がなかったことでした。工事管理アプリには施工会社に伝えるべき情報が項目として整理されており、担当者は「この項目を全部埋めれば伝達完了」という状態で施工会社に共有できます。

4. ヒアリング情報アプリ——商談ノウハウを組織の資産にする

商談で顧客からヒアリングした内容を記録するアプリです。「顧客の関心ポイント」「懸念・反対意見」「競合他社との比較検討状況」「意思決定のタイムライン」などを構造化して記録します。

このアプリが最も「属人化打破」に寄与した部分です。ベテランが無意識にやっていた「顧客の関心を引き出す質問」が項目として明文化されることで、新人は「何を聞けばいいか」がアプリを見れば分かるようになりました。

「ヒアリングアプリの項目を埋めながら商談をするようになって、新人の商談内容が明らかに変わった。聞き忘れが減って、顧客の状況を整理しながら話せるようになってきた」

kintone導入で変わった「3つのこと」

1. フォーマット化が商談そのものを変えた

「フォーマットに情報を入れるためには、顧客からその情報を引き出さなければならない」——この当たり前のことが、商談の質を底上げしました。アプリの入力項目が「商談で確認すべきチェックリスト」として機能するため、担当者は自然と必要な情報を漏れなくヒアリングするようになりました。システム化の副産物として、商談がスムーズに進むようになったのです。

 

「フォーマット化すると必要情報がまとまるので、商談もスムーズに進むことがわかった。これは正直、想定外の効果だった」

2. 施工会社との連携トラブルが大幅に減った

工事管理アプリで「施工に必要な情報を全部埋める」という仕組みができたことで、情報の欠落に起因するトラブルが大幅に減りました。施工会社側も「kintoneの情報を見れば全部わかる」という状態になり、口頭確認の頻度が下がり、双方の業務効率が上がりました。

3. 新人が「スタートラインに立てる」ようになった

最も大きな変化は、新人の成長スピードでした。

 

「営業担当に属人化していたことで、新人が伸びなかった。でもkintoneにフォーマットが入ったことで、新人でも最低限のことができるスタートラインに立てるようになった。あとは経験を積むだけ、という状態が作れた」

 

ベテランの「感覚」が項目として言語化されたことで、新人はゼロから試行錯誤する必要がなくなりました。フォームという形で「チームのノウハウ」が共有され、組織全体の営業品質の底上げが実現しました。

こんな太陽光発電・エネルギー系営業会社に特におすすめです

 

物件ごとにExcelシートを作成しているが、担当者によって情報の粒度・形式がバラバラになっている

kintoneのアプリで入力項目を統一することで、誰が入力しても同じ形式で情報が残ります。引き継ぎや情報確認のコストが大幅に下がります。

 

施工会社への情報共有が不統一で、現場トラブルや「聞いていない」が繰り返されている

工事管理アプリで「施工に必要な情報の一覧」を標準化することで、担当者が変わっても正確な情報が施工会社に届く仕組みが作れます。

 

ベテランの成績は安定しているが、新人がなかなか育たない。ノウハウが属人化している

ヒアリングアプリの項目設計でベテランの「暗黙知」を言語化することが、新人が自力で動けるスタートラインを作ります。組織のノウハウを「フォームの設計」に変換することがkintone導入の本質的な価値です。

 

「kintoneを入れたい」が、何から整理すればいいかわからない

kintoneの導入支援では、アプリの設計前に「業務の棚卸し」を行います。「何をアプリに入れるか」を決める作業が、自社の業務プロセスを整理する機会になります。システムより先に、業務の標準化が生まれます。

 

営業・施工・アフターフォローの情報が別々に管理されており、案件の全体像が一目で把握できない

顧客・物件・工事・ヒアリングをリレーションで連携させることで、1つの案件に関するすべての情報が1画面で確認できるようになります。

太陽光発電システム営業のkintone導入の流れ

 

STEP 1:業務の棚卸し(何を標準化するかを決める) 現在の商談フロー・物件管理の方法・施工会社への情報共有の手順をお聞きします。「ベテランが自然にやっていること」を言語化する作業が、アプリ設計の土台になります。所要時間は2〜3時間程度。

STEP 2:アプリ設計(4つのアプリと入力項目の設計) 顧客管理・物件管理・工事管理・ヒアリング情報の4アプリの入力項目を設計します。「必須項目」と「任意項目」の仕分け、アプリ間のリレーション設計もこの段階で行います。

STEP 3:構築・テスト(実際の商談フローで確認) アプリを構築し、実際の物件データを使って動作確認します。「この項目が入力しにくい」「この情報も必要」という声を反映し、現場で使いやすい設計に仕上げます。

STEP 4:運用開始・定着フォロー 本番運用を開始します。新人スタッフが「アプリを使いながら商談できる」状態になるまでのフォローを行います。全体のスケジュールは1〜2ヶ月程度が目安です。

「システム化」の前に「標準化」——kintone導入が教えてくれた本質

T担当者が導入を通じて気づいたことは、kintoneという道具の価値ではなく、「業務を標準化する」という行為そのものの価値でした。

「何をアプリに入れるか」を決める作業は、「自分たちの営業にとって何が本当に重要か」を問い直す作業です。これをやったことで、ベテランの暗黙知が言語化され、新人が動けるフォーマットが生まれ、施工会社との情報ギャップが埋まりました。

kintoneはその標準化を「誰もが使えるアプリ」という形に変えるツールです。標準化したものをシステムに乗せることで、それが組織全体に広がり、維持されます。

「システムを入れたい」と思ったとき、まず問うべきことがあります。「今の業務は標準化されているか」——この問いへの答えを出す作業から、本当のDXは始まります。

まとめ

  • 物件ごとのバラバラなExcel管理は、フォーマットがないことで情報欠落・属人化・施工トラブルの三重苦を生む
  • kintone導入の前にまず「業務の標準化」が必要——何をアプリに入れるかを決める作業が、自社の業務プロセスを整理する機会になる
  • 顧客・物件・工事・ヒアリングの4アプリをリレーション連携させることで、1案件の全情報が1画面で把握できる
  • アプリの入力フォームが「商談で確認すべきチェックリスト」として機能し、フォーマット化が商談品質を底上げする
  • ヒアリング情報アプリでベテランの暗黙知を項目として言語化することで、新人が自力で動けるスタートラインが生まれる
  • 「営業の属人化が新人の成長を止めていた」——フォーマットという形でノウハウを組織に共有することが、チーム全体の底上げにつながる

 

太陽光発電・エネルギー系営業会社のkintone導入に興味が出てきた方は、ぜひ一度ご相談ください。まず業務の棚卸しから一緒に始めましょう。まずは無料ヒアリングからどうぞ。